2008年10月12日日曜日

後藤和智 「お前が若者を語るな!」

宮台真司や東浩紀、香山リカなどがこれまでに語ってきた「俗流若者論」を批判することがこの本のテーマ。彼らの言説がいかに客観的データを無視し主観によって形作られているか、またその裏づけを持たない仮説によって若者に対する政治的な見方が出来上がってしまったかを述べている。

常々ニュースやワイドショーで「凶悪化する少年犯罪」というキャッチフレーズが使われ、そのたびに一部では少年犯罪の件数は戦後減少し続けているという統計上の事実が持ち出される。これはもはや常識なんじゃないかと思うのだけど、いまだに言い続けられているということは世間の人たちはまだ少年犯罪が凶悪化しているという印象を持っているということなのかもしれない。「俗流若者論者」たちはこの印象をベースにそこからロジックを展開していく。それに対して著者は、印象論ではなく本当に科学的な根拠に基づいて論じるべきだと主張する。

話の本筋は変わってしまうけど、印象論や論拠があいまいな論説は割とまかり通ってしまっている気がする(これは僕の印象だけど)。著者も批判の対象にしているけど藤原正彦の「国家の品格」を読んだときはグレーな論拠に基づいた三段論法のようなものを否定しておきつつ、この本自体がその論法によって構成されている気がしたものだけど、こんな本がベストセラーになっているしね。

よく「本を読みなさい」なんていうけれどそれは単に読むだけではだめで、やっぱりだまされないように、批判的に読まなきゃいけないんだろうと思う(その目を養うためにある程度の量を無批判に読む必要はあるかもしれないけれど)。

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